「相続仮面」でそのうちかならず発生する相続対策

いつも愛読させていただいている竹内謙礼さんの本ですが、今回は2018年に文庫化されていた「相続仮面(PHP文庫)」を読んでみました。

相続仮面(PHP文庫)

ビジネス戦略ノベルシリーズというと一見硬い内容に思われますが、実際に読んでみるといつもどおり非常に読みやすく、かつビジネスや実生活に役立つ内容となっております。

私の両親も80歳を超えまだ健在ですが、亡くなった時に家族でもめないように、ちゃんと考えておかないといけないなあと思わせられる一冊になっております。

ここではこの本を読んで印象に残ったことをまとめておきます。

1.相続税の考え方について

相続税は亡くなった人から相続するお金や物にかかる税金、という漠然とした認識しかありませんでした。

しかしながら、この本を読むことにより、

・相続の対象となる範囲(亡くなる前にもらったお金も対象になることがある!)
・相続税の対象となる物の価値(=金額に換算するといくらになるか)
・相続する人による税率の変化やざまざまな減税措置

などを知ることができます。

特に相続の対象となる範囲について、生前に亡くなった人からもらったお金が相続金に含まれるというのは、ちょっとびっくりしました。

例えば、自分が5000万円相続することになったとしても、生前に学費の支援などで1000万円贈与されていたとすると、相続の際に4000万円しかもらえないといことです。(さらにそこから相続税がかかるので、実際にはもっとすくなるなるらしいですが。)

2.遺言状の効果について

もし無くなった人が遺言状を残しており、誰にいくら相続したいとはっきり書いてあれば、それがそのまま適用されると考えておりましたが、実際には違うようです。

残された人の立場によって、主張すれば最低限もらえる相続の割合が決まっており、遺言に自分の名前がかかれていないからといって、全く諦める必要はないようです。

また、遺言状のレベルにも2つくらいあって、誰もがドラマなどで見聞きするような自筆の遺言状以外に公的な遺言状もあるらしいです。

3.相続をしたくない場合

普通、誰もがお金がもらえるのであれば相続を断ることはないと思いがちですが、

・相続を物でもらったので相続税がお金で払えない
・無くなった人に多額の借金があり、相続するとその借金まで引き取ってしまう

といった理由により相続をやめたい場合があるようです。

その場合には、亡くなってから3ヶ月以内に相続しない旨を申請しないと、自動的に相続したことになるらしいです。

ここまではプライベートでの相続の話を中心に感想を書いてきましたが、ビジネスによける株式の相続などについても触れられており、会社を経営されているひとにも相続を考えるきっかけになる良い本だと思います。

個人的には、相続仮面まわりの全体的なストーリーの流れについては、他の竹内さんの本に比べると難があるかなあとは思いましたが、いつもどおり勉強になり、みなさんにお勧めしたい本ですね。